「最近、ベルトがきつい…」そのお腹の張り、ただの太りすぎじゃない?

院長 柏木 宏幸所属学会・資格
- 日本内科学会 総合内科専門医
- 日本内科学会 内科認定医
- 日本消化器病学会 消化器病専門医
- 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
- 一般社団法人日本病院総合診療医学会
認定病院総合診療医 - 難病指定医
- がん診療に関わる医師に対する緩和ケア 研修会 修了
- PEG・在宅医療研究会 修了証
「最近、なんだかお腹が苦しい…」「ベルトがきつくなってきた気がする…」そんな変化を感じたとき、真っ先に「太ったかも?」と思う人は多いでしょう。しかし、そのお腹の張りは、必ずしも脂肪の増加によるものとは限りません。
実は、お腹が張る原因には、腸内にガスが溜まっている、便秘が続いている、腸の動きが鈍っている、ホルモンバランスが乱れているといった、さまざまな要因が考えられます。これらの原因が重なることで、まるでお腹に脂肪が増えたかのような膨満感を感じることがあるのです。特に、「食事量は変わっていないのに、お腹だけぽっこりしてきた」「夕方になるとお腹が張って苦しい」といった場合、単なる体重増加ではなく、腸の不調が関係している可能性が高いと考えられます。
この記事では、「お腹の張り」と「肥満」の違いを見極め、腸内環境を整えるための方法を詳しく解説していきます。もしかすると、適切な対策をとることで、ベルトのきつさがすぐに解消されるかもしれません!
お腹の張りと肥満の違いとは?見分けるポイント
お腹が大きくなる原因が「脂肪の増加」なのか、「腸の膨満感」なのかを見分けるためには、いくつかのポイントをチェックすることが重要です。
①お腹の膨らみが一時的かどうか
脂肪が原因の場合:時間が経っても変化がなく、常にお腹がぽっこりした状態が続く。
腸の膨満感が原因の場合:朝はスッキリしているのに、夕方になるとお腹が張って苦しくなる。
②お腹の触り心地
脂肪が原因の場合:お腹をつまむと柔らかく、つまめる脂肪が多い。
腸の膨満感が原因の場合:お腹がパンパンに張っていて、皮膚が突っ張るような感じがする。
③便秘やガス溜まりがあるか
腸の膨満感が原因の場合:お腹が張るだけでなく、便秘が続いていたり、おならが増えていたりすることが多い。
④食後の変化
腸の膨満感が原因の場合:食後すぐにお腹が苦しくなる、炭酸飲料を飲むとさらに張る。
このような違いをチェックすることで、自分のお腹の張りの原因が脂肪なのか、それとも腸の不調によるものなのかを見極めることができます。
腸内ガスの溜まりすぎ?膨満感を引き起こす原因とは
腸内環境の乱れ
腸内にガスが過剰に溜まると、お腹が張り、ベルトがきつく感じることがあります。腸内ガスは、食事中に飲み込んだ空気や、腸内細菌が食べ物を発酵させる過程で発生します。通常は自然に排出されますが、何らかの原因で腸内に蓄積すると、膨満感や腹痛を引き起こすことがあります。
例えば、食事の際に早食いをすると、大量の空気を飲み込んでしまい、腸内にガスが溜まりやすくなります。また、炭酸飲料を頻繁に摂ると、二酸化炭素が腸内に留まり、お腹が張りやすくなります。さらに、ストレスが溜まっていると、腸の動きが悪くなり、ガスの排出がスムーズに行われなくなることもあります。特に、腸内細菌のバランスが崩れていると、ガスの発生量が増えるため、腸内環境を整えることが大切です。発酵食品や食物繊維を適度に摂り、腸の動きをスムーズにすることが、膨満感の解消につながります。
便秘による腸の膨張!溜め込みすぎると危険?
便秘が続くと、腸内に便が滞留し、腸内で発生するガスが排出されにくくなります。その結果、腸が膨張し、お腹の張りを感じやすくなります。これは、単なる膨満感にとどまらず、腸内の環境悪化や、体内の毒素が排出されにくくなる原因にもなります。
便秘による膨満感は、特に以下のような症状を伴うことが多いです。
- お腹がゴロゴロと鳴るが、便意がない
- 食後すぐにお腹が張る
- 肌荒れや吹き出物ができやすくなる
腸内環境の乱れが影響?悪玉菌の増加とガス発生の関係
腸内環境の乱れ
腸内には、善玉菌・悪玉菌・日和見菌という3つの種類の細菌が存在し、これらのバランスが腸の健康を左右します。善玉菌は腸内環境を整え、悪玉菌は腸内で有害な物質を発生させる働きを持っています。通常、このバランスは一定に保たれていますが、食生活の乱れやストレス、運動不足などの影響で悪玉菌が増えると、腸内で過剰なガスが発生し、お腹の張りが強くなります。特に、脂っこい食事や加工食品を頻繁に摂ると、悪玉菌が増えやすくなり、腸内環境が悪化しやすくなります。また、糖質の過剰摂取も悪玉菌の増殖を助長し、腸内ガスの発生量を増やす原因となります。
食べ物の影響も大きい?ガスを発生させやすい食品とは
腸内にガスが溜まりやすい原因のひとつとして、ガスを発生させやすい食べ物を摂取している可能性があります。
豆類、キャベツ、ブロッコリー、炭酸飲料
豆類、キャベツ、ブロッコリー、炭酸飲料などは、腸内でガスを発生しやすい食品です。これらの食品は、食物繊維が豊富なため腸内環境を整える効果もありますが、食べ過ぎるとガスが過剰に発生し、お腹の張りの原因となることがあります。
人工甘味料
人工甘味料(ソルビトールやキシリトール)を含む食品も、腸内で発酵しやすく、ガスの発生を促進する可能性があります。特に、ダイエット食品やガム、低カロリー飲料を多く摂取している人は、腸内のガスが増えやすくなるため注意が必要です。
ガスの発生を抑えるためには、よく噛んで食べる、食事の量を適度にする、炭酸飲料を控えるなどの工夫が効果的です。
ストレスでお腹が張る?自律神経と腸の関係
ストレスが溜まると、腸の働きにも大きな影響を与えます。これは、腸の動きをコントロールしている「自律神経」がストレスの影響を受けやすいためです。
ストレスが強くなると交感神経が優位になり、腸の動きが鈍くなったり、逆に過剰に動きすぎたりすることがあります。その結果、便秘や下痢、ガス溜まりが起こりやすくなり、お腹の張りがひどくなることがあります。
ストレスによる腸の不調を改善するためには、リラックスできる時間を作ることが大切です。例えば、深呼吸やストレッチを取り入れることで、自律神経のバランスを整え、腸の動きを正常に戻すことができます。また、適度な運動をすることで、ストレスを解消しながら腸の働きを活性化させることができます。
「腸は第二の脳」とも呼ばれるほど、ストレスの影響を受けやすい臓器です。日頃からストレスを溜め込まない生活を心がけることで、お腹の張りを軽減することができます。
ホルモンバランスの乱れが原因?女性に多い腹部膨満感
「最近、ベルトがきつい…」と感じる原因のひとつに、ホルモンバランスの変化が関係していることがあります。特に、女性の場合は生理周期や更年期によるホルモンの変化が、腸の働きや水分のバランスに影響を与え、お腹が張りやすくなることがあります。
ホルモンバランスとお腹の張りの関係
①生理前や生理中のむくみ
生理前には、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増え、腸の動きが低下することがあります。そのため、便秘になりやすく、腸内ガスが溜まりやすくなることで、お腹が膨らんだように感じることがあります。
②更年期の影響
更年期に入ると、エストロゲンの減少により、腸の働きが鈍くなり、便秘やガス溜まりが発生しやすくなります。また、基礎代謝が低下することで、実際に内臓脂肪が増えやすくなり、ベルトがきつく感じる原因にもなります。
③ストレスによるホルモンの乱れ
ストレスが多いと、コルチゾール(ストレスホルモン)が増加し、腸のぜん動運動が不規則になりやすくなります。その結果、腸内ガスが排出されにくくなり、お腹の張りを感じることが増えます。
ホルモンバランスを整えてお腹の張りを解消する方法
- 適度な運動(ウォーキングやヨガを取り入れる)
- 食生活の見直し(食物繊維と水分をしっかり摂る)
- ストレス管理
腸の動きが鈍っている?運動不足と膨満感の関係
デスクワークが多く、運動の機会が少ない人は、「最近、お腹が張るようになった」と感じることがあるかもしれません。これは、運動不足によって腸の動き(ぜん動運動)が低下し、便やガスが滞りやすくなるためです。腸の動きが悪くなると、食べたものがスムーズに消化・吸収されず、腸内にガスが溜まりやすくなるため、見た目にもお腹がぽっこりしやすくなります。これは、「脂肪が増えたわけではないのに、ベルトがきつく感じる」原因のひとつになります。
運動不足が腸の働きに与える影響
- ぜん動運動の低下 → 便秘になりやすくなり、お腹が張る
- ガスの滞留 → 腸内ガスが排出されにくくなり、腹部膨満感を引き起こす
- 血流の悪化 → 腸の動きが鈍くなり、むくみや水分滞留が起こる
運動不足による膨満感を解消する方法
- 毎日10分の軽いストレッチやウォーキングを取り入れる
- 食後すぐに横にならず、軽く体を動かす(腸の動きを促す)
- 座りっぱなしの時間を減らし、こまめに体を動かす
適度な運動を習慣化することで、腸の働きを活発にし、お腹の張りを解消することができます。
病気のサインかも?お腹の張りと関連する疾患
お腹の張りが続く場合、単なる便秘やガス溜まりではなく、重大な病気が隠れている可能性もあります。「最近、ベルトがきつい」と感じる症状が慢性的に続く場合は、以下の病気を疑う必要があります。
お腹の張りと関連する疾患
お腹の張りが続く場合、下記のような腸や胃の病気が関係していることがあります。
①消化管の疾患
- 腸閉塞(イレウス)
腸の通過が妨げられ、食べたものやガスが腸内に滞留する病気。激しい腹痛や嘔吐を伴うことが多く、緊急手術が必要な場合もある。 - 胃・十二指腸潰瘍
胃酸の過剰分泌により粘膜が傷つき、消化不良による膨満感を感じることがある。重症化すると出血を伴うことも。 - 過敏性腸症候群(IBS)
ストレスや食生活の影響で腸が過剰に反応し、ガスが溜まりやすくなる。慢性的な下痢や便秘を繰り返す場合は要注意。
②婦人科系の疾患(女性特有の危険なサイン)
女性の場合、腹部膨満感が婦人科系の病気のサインとなることもあります。
- 卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)
卵巣にできる腫瘍が大きくなると、お腹の張りや圧迫感を感じることがある。放置すると破裂のリスクも。 - 子宮筋腫
子宮にできる良性の腫瘍だが、大きくなるとお腹が張ったように感じることがある。貧血や月経異常を伴う場合は早めの受診を。
③肝臓・腎臓の疾患(腹水)
内臓機能が低下すると、体内の水分調整がうまくいかなくなり、お腹の中(腹腔内)に水が溜まり腹水として、腹部の膨満感が発生することがあります。
- 肝硬変
肝臓の機能が低下し、腹水が溜まることで、お腹が異常に膨らむ。進行すると黄疸や倦怠感を伴う。 - 腎不全
腎臓の働きが弱まり、体内の老廃物や余分な水分が排出されにくくなると、むくみや腹部膨満感(腹水)が起こる。
④がん(腹部膨満感が症状となる場合)
お腹の張りが長期間続く場合、消化器系のがんや婦人科系のがんが関係している可能性もあります。
- 胃がん
食べ物がうまく排出されなかったり、腫瘍自体で胃の動きが悪くなることもあるため、食欲が低下してお腹が張る方や、内視鏡検査を受けたことがない方で症状がある方は要注意。 - 大腸がん
便秘や下痢を繰り返し、腸内にガスが溜まりやすくなる。血便が見られる場合は要注意。 - 卵巣がん、子宮がん
初期症状として「お腹の張り」や「食欲不振」が現れることが多い。自覚症状が少なく、進行するまで気づかないこともあるため注意が必要。
こんな症状があれば要注意!すぐに医療機関を受診すべきサイン
お腹の張りが続いているだけでなく、以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。症状の併発は非常に危険です。
- 激しい腹痛や嘔吐を伴う(腸閉塞や胃潰瘍の可能性)
- 便に血が混じる、または黒っぽい便が出る(胃や腸の出血の可能性)
- 食欲が低下し、体重が急激に減少している(がんの可能性)
- お腹が張っているのに便秘や排ガスが全くない(腸閉塞の危険性)
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)や強いむくみがある(肝臓や腎臓の機能低下の可能性)
- 胃カメラ、大腸カメラをしたことがない、長い間検査をしていない
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当院では、腹部膨満症状でお困りの方にもしっかりと診察と検査を行います。場合によっては、内視鏡検査のご提案もいたします。まずは、外来のご予約のうえご来院ください。内視鏡検査を希望の場合には事前診察外来(大腸カメラの事前の相談・説明外来)、当日大腸カメラ(1日で診察から検査まで対応)でのWeb予約も可能です。24時間web予約が可能です。