TOPへ

健診結果に関するお悩み

「朝ごはん抜きが習慣のあなたへ」腸と胃に与える意外なダメージとは

健診結果に関するお悩み
「朝ごはん抜きが習慣のあなたへ」腸と胃に与える意外なダメージとは
院長 柏木 宏幸院長 柏木 宏幸

院長 柏木 宏幸所属学会・資格

  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 日本内科学会 内科認定医
  • 日本消化器病学会 消化器病専門医
  • 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
  • 一般社団法人日本病院総合診療医学会
    認定病院総合診療医
  • 難病指定医
  • がん診療に関わる医師に対する緩和ケア 研修会 修了
  • PEG・在宅医療研究会 修了証

近年、朝ごはんを食べない人が増えています。忙しい現代社会では、朝の時間に余裕がなく、食事を取る時間を節約しようとする人が多く見られます。特に若い世代では、「朝は食欲がない」「ダイエットのために食べない」「朝食をとる時間がもったいない」といった理由で朝ごはんを抜く習慣が定着してしまっているのが現状です。
一方で、朝ごはんを抜くことが健康にどのような影響を与えるのかを深く考えたことがある人は少ないかもしれません。実は、朝食を抜くことは一時的には時間の節約になったり、体重が減るように感じたりするかもしれませんが、長期的には胃や腸に大きなダメージを与える可能性があるのです。本記事では、朝ごはんを抜くことが腸と胃に与える意外な影響について詳しく解説し、健康な食習慣を身につけるためのポイントを紹介します。

朝食を抜くことで起こる胃のダメージとは?

朝ごはんを食べないことで、最も大きな影響を受けるのが胃です。通常、私たちの胃は食事をすることで胃酸を分泌し、食べ物を消化します。しかし、朝食を抜くと、胃の中には食べ物がないにもかかわらず、胃酸が分泌され続けることになります。これが胃の粘膜を刺激し、胃痛や胃炎の原因となることがあります。

胃酸の過剰分泌

特に、ストレスの多い生活を送っている人は、自律神経のバランスが崩れやすく、胃酸の分泌が過剰になりがちです。これに加えて朝食を抜くと、胃酸が直接胃の粘膜を攻撃し、慢性的な胃炎や胃潰瘍のリスクを高めることになります。朝食を取らないことで一時的に胃の不調を感じなくなることもありますが、実際には胃が長時間空っぽの状態が続くことで負担が増しているのです。

胃のぜん動運動の低下

胃の中が空っぽの状態が続くと、胃のぜん動運動(食べ物を消化するための動き)が低下し、消化機能そのものが衰えてしまいます。すると、いざ食事をしたときに消化がスムーズに行われず、胃もたれや食後の不快感を感じやすくなるのです。こうした影響はすぐには現れないかもしれませんが、長年にわたって朝食を抜く習慣が続くと、胃の健康を損なうリスクが高まることは明らかです。


腸に与える意外な影響:便秘や腸内環境の悪化

腸への悪影響

朝ごはんを抜くことは、胃だけでなく腸にも悪影響を及ぼします。腸の動きは、食事を取ることで活発になります。特に朝食を食べることは腸のぜん動運動を促進し、便通をスムーズにする役割を果たします。しかし、朝ごはんを抜くとこの動きが鈍くなり、便秘になりやすくなってしまいます。

腸内環境の乱れ

腸内環境は、腸内細菌のバランスによって決まります。私たちの腸内には善玉菌と悪玉菌が存在しており、食物繊維や発酵食品を摂取することで善玉菌が増え、腸内環境が整います。しかし、朝食を抜くことで腸内の動きが鈍くなり、善玉菌の活動が低下してしまいます。その結果、悪玉菌が増えやすくなり、腸内環境が乱れる原因となります。

免疫力の低下

腸内環境が悪化すると、便秘だけでなく、肌荒れや免疫力の低下など、全身の健康にも影響を及ぼします。腸は「第二の脳」とも呼ばれるほど重要な器官であり、腸の健康状態が心身の健康に大きく関わっているのです。そのため、朝ごはんを抜くことによって腸の働きを低下させることは、長期的に見ても避けるべき習慣だと言えるでしょう。


朝食を食べることのメリットと正しい選び方

朝ごはんをしっかり食べることは、胃や腸の健康を守るだけでなく、一日を元気に過ごすためにも重要です。特に、朝食を取ることで血糖値が安定し、エネルギー供給がスムーズになります。朝ごはんを抜くと、午前中に集中力が低下しやすく、イライラしやすくなることも分かっています。

食べる内容にも注意を

ただし、朝食を取る際には、食べる内容にも注意が必要です。菓子パンや糖分の多いシリアル、揚げ物などは胃腸に負担をかけやすいため、消化の良いものを選ぶことが大切です。例えば、ヨーグルトやバナナ、オートミール、味噌汁などは胃腸に優しく、消化しやすい食べ物です。また、食物繊維が豊富な野菜や果物を取り入れることで、腸内環境の改善にもつながります。

朝食を食べる習慣をつけることは、最初は難しいかもしれませんが、少しずつでも取り入れることで身体が慣れていきます。例えば、「まずはバナナ1本だけ食べる」「ヨーグルトを一口だけ食べる」といった小さなステップから始めるのも良いでしょう。


朝食抜きは肥満の原因になる?ダイエットとの意外な関係

脂肪が燃焼しにくい体に

多くの人が「朝ごはんを抜くと痩せる」と考えがちですが、実際にはその逆の現象が起こることが多いのです。特に、ダイエット目的で朝食を抜く若い世代にとって、この習慣が逆効果になる可能性があります。朝ごはんを抜くと、体は飢餓状態と認識し、エネルギーをできるだけ蓄えようとします。その結果、基礎代謝が低下し、脂肪が燃焼しにくい体になってしまいます。

高カロリーな食事を欲しやすくなる傾向へ

また、朝ごはんを抜いたことで空腹感が強まり、昼食や夕食で過剰に食べてしまうことがよくあります。特に夕食の時間が遅くなると、摂取したエネルギーが消費されずに脂肪として蓄積されるため、結果的に体重が増えやすくなってしまうのです。さらに、朝食を抜くと血糖値が大きく変動しやすくなり、甘いものや高カロリーな食事を欲しやすくなる傾向があります。つまり、「朝ごはんを抜く→昼・夜に食べ過ぎる→太る」という悪循環に陥りやすいのです。

これを防ぐためには、朝ごはんを適量食べ、血糖値を安定させることが重要です。特に、食物繊維やたんぱく質を多く含む食品を朝に摂ることで、満腹感が持続し、次の食事での食べ過ぎを防ぐことができます。例えば、オートミールやゆで卵、ヨーグルトなどは消化が良く、栄養価も高いため、朝食に適しています。朝ごはんをしっかり食べることが、結果的に健康的なダイエットにつながるのです。


朝ごはん抜きが招くメンタルへの影響とは?

朝食を抜くことで、体だけでなくメンタルにも影響を及ぼすことが分かっています。特に、朝ごはんを食べないと血糖値が下がりやすくなり、それが脳の働きに影響を与えます。脳はブドウ糖をエネルギー源としており、朝食を取らないと脳のエネルギー供給が不足し、集中力や判断力が低下するのです。

低血糖による影響

この影響は、学生や若手社会人にとって特に大きな問題となります。授業や仕事のパフォーマンスを最大限に発揮するためには、朝食を取ることが不可欠です。例えば、朝ごはんを抜いた日に限って午前中にボーッとしてしまったり、イライラしたりすることはないでしょうか?これは、低血糖による影響の一例です。

セロトニンの分泌低下

また、朝食を取らないことでセロトニン(幸せホルモン)の分泌が低下し、ストレスを感じやすくなることも分かっています。特に、慢性的に朝食を抜いている人は、不安感や気分の落ち込みを感じることが多くなる傾向があります。これは、朝食が体だけでなく、心の健康にも大きく関わっていることを示しています。朝食をしっかり取ることで、脳に十分なエネルギーを供給し、一日をポジティブにスタートさせることができるのです。


朝食を取る習慣をつけるために

朝ごはんを食べる習慣を身につけることが大切だと分かっていても、「食欲がない」「朝は忙しくて時間がない」といった理由でなかなか実践できない人も多いでしょう。しかし、朝ごはんを食べることは健康維持のために非常に重要な習慣です。そこで、無理なく朝食を取るための方法を紹介します。

まず、朝に食欲がない人は、前日の夕食の時間を見直してみましょう。寝る直前に食事をすると、朝になっても消化が終わっておらず、食欲が湧かないことがあります。そのため、夕食は就寝の3時間前までに済ませるようにするのが理想的です。もし遅くなる場合は、消化の良い食事を心がけるとよいでしょう。

手軽な朝食

「朝食の準備が面倒」という人は、手軽に食べられるものを常備しておくとよいです。例えば、バナナやナッツ、ヨーグルトなどは手軽に食べられ、栄養価も高いため、朝食として適しています。また、スムージーやプロテインドリンクを活用するのも一つの方法です。これらは短時間で作ることができ、胃に負担をかけずにエネルギーを補給できます。

朝に時間がない人は、前日の夜に朝食を準備しておくのも良い方法です。例えば、オーバーナイトオーツ(前の晩にオートミールを牛乳やヨーグルトに漬けておく)を作っておけば、朝起きたときにすぐ食べることができます。また、前日におにぎりやサンドイッチを作っておけば、忙しい朝でも簡単に食べることができるでしょう。

少しずつでも朝食を取る習慣をつけることで、胃や腸への負担を減らし、健康的な生活を送ることができます。最初は少量からでも構わないので、まずは「一口でも食べる」ことを意識してみましょう。


朝ごはん抜きがもたらす体への累積ダメージ

朝食を抜く習慣が長期間続くと、体内でのエネルギーバランスやホルモン調整が乱れ、結果的にさまざまな慢性疾患のリスクが高まることが明らかになっています。

 

 

インスリンの分泌異常

まず、朝食を欠くことにより、体は朝から飢餓状態と認識し、インスリンの分泌調整に異常が生じやすくなります。これにより血糖値が不安定になり、インスリン抵抗性が進行しやすく、結果的に2型糖尿病やメタボリックシンドロームの発症リスクが増大します。体内で糖分や脂質の代謝が適切に行われないと、内臓脂肪が蓄積しやすくなり、心血管疾患や高血圧の原因ともなります。さらに、朝食を摂らずに昼食や夕食で過剰なカロリー摂取をすることが多いと、総摂取カロリーが増加し、肥満に繋がるという悪循環が生じます。

体内時計の乱れ

長期的に朝食を抜くことは、体内時計(サーカディアンリズム)の乱れを招く要因にもなります。サーカディアンリズムは、各臓器や細胞の機能を調節する上で重要な役割を果たしており、このリズムが崩れると免疫系の働きや代謝機能に悪影響を及ぼします。特に、朝に規則正しく栄養を摂取することで、胃腸や内分泌系のリズムが整い、体全体の健康維持に寄与しますが、朝食を抜くとこれらのシステムが不調を来たし、慢性的な炎症状態が持続する可能性があるのです。慢性炎症は、心血管疾患、癌、さらには認知症など多くの深刻な病気の発症リスクを高めるとされています。

循環器系疾患リスクの増加

最近の研究においても、朝食を定期的に摂ることが、長期的な健康維持や寿命の延伸に寄与するという報告が多く見られます。特に、朝食をしっかり摂る人は、総カロリー摂取量の管理がしやすく、健康的な食生活を送る傾向が強いというデータもあります。これにより、内臓脂肪の蓄積が抑えられ、血液中の脂質バランスも改善されるため、心臓病や脳卒中といった循環器系疾患のリスクが低減されるのです。

以上のように、朝ごはんを抜く習慣は単なる一日の食事の問題に留まらず、体内のエネルギーバランス、ホルモン調整、さらには免疫や代謝機能全般に影響を及ぼし、結果として様々な慢性疾患のリスクを高める可能性があるため、医療的観点からも見逃せない重要な要素となっています。


朝食摂取と免疫機能:体内バランスと腸内細菌への影響

朝食をしっかり摂ることは、体内の免疫機能や腸内細菌のバランスを整える上で非常に重要です。朝の栄養補給は、単にエネルギーを供給するだけでなく、腸内の善玉菌の活動を促進し、消化管の健康維持に大きく寄与します。腸は「第二の脳」とも呼ばれ、免疫細胞の約70%が存在すると言われており、食事によって供給される栄養素は腸内環境を整えるための重要な材料となります。

善玉菌の増殖

朝食を摂ることで、腸内で食物繊維や発酵性のある成分が供給され、これが善玉菌の増殖を促進し、悪玉菌の抑制に繋がります。腸内のバランスが整えば、腸のバリア機能が向上し、体内への有害物質や病原菌の侵入を防ぐ効果が期待できます。また、朝に十分な栄養が供給されることで、血中のグルコース濃度が安定し、免疫細胞が正常に機能するためのエネルギーが確保され、全身の炎症反応が抑えられる傾向にあります。

免疫力の増加

朝食を抜くと、体内の代謝リズムが乱れ、免疫系にも影響が及ぶことが示唆されています。朝の規則正しい食事摂取は、体内時計を整え、免疫系の細胞の分泌リズムや活動時間を正常に保つためのシグナルとなります。これに対して、朝食を抜いた場合、低血糖状態が続き、免疫細胞が必要なエネルギーを十分に得られず、体内での炎症反応が増幅されやすくなります。結果として、慢性的な炎症状態が持続し、さまざまな病気に対する抵抗力が低下するリスクが高まるのです。

セロトニン分泌の増加

腸内環境の乱れは、精神面にも悪影響を及ぼすことが近年の研究で明らかになっています。セロトニンと呼ばれる神経伝達物質の約90%が腸内で生成されるため、腸内細菌のバランスが崩れると、気分の不安定さやストレスの増加、さらにはうつ状態にもつながる可能性があります。医療現場では、朝食の摂取が腸内細菌の多様性を保ち、結果として全身の免疫力や精神的健康の維持に寄与することを支持する意見が多く見られます。

このように、朝食は単なる栄養補給の手段に留まらず、体内の免疫システムや腸内環境の調和を保つための基盤となっているため、朝食摂取の習慣化は健康維持において非常に価値があるといえます。


個別の栄養ニーズに合わせた朝食

朝ごはんを摂ることの重要性が多くの研究で支持される中で、個々の栄養状態や健康リスクに合わせた朝食を提案することは、より効果的な予防策となります。実際昨今では、年齢、性別、既往症、生活習慣、さらには運動量やストレスレベルなど、さまざまな要因を考慮して、個別に最適な朝食の内容が検討されることが望まれています。

糖尿病のリスクがある人

たとえば、糖尿病のリスクがある人には、低GI値の食品を中心としたメニューが推奨されます。全粒穀物、ナッツ類、ヨーグルト、ベリー類などが取り入れられることが一般的です。これらの食品は、血糖値の急激な上昇を防ぎ、持続的なエネルギー供給を実現するため、体内のインスリンバランスの維持に寄与します。

肥満傾向にある若年層や中高年の方

肥満傾向にある若年層や中高年の方には、たんぱく質と食物繊維が豊富なメニューが適しております。オートミールや卵、緑黄色野菜を組み合わせた朝食が、満腹感を持続させ、間食の防止に効果的です。運動を習慣化している人にとっては、筋肉の修復やエネルギー補給を目的として、プロテインシェイクや低脂肪の乳製品が推奨されるケースも多く、各個人のライフスタイルに合わせた調整が求められます。

胃や腸の健康を特に重視する人

胃や腸の健康を特に重視する人には、消化に優しい食品や発酵食品を取り入れることが有効です。たとえば、ヨーグルトや納豆、キムチといった発酵食品は、腸内細菌のバランスを整えるだけでなく、胃の負担を軽減し、消化吸収を助ける働きがあります。医療専門家は、こうした食品を朝食に取り入れることで、胃腸の健康を維持し、免疫機能の向上にも寄与することを推奨しています。

朝食のタイミングや摂取量も個人差が大きいため、無理に一律のメニューを強いるのではなく、日々の体調やスケジュールに合わせた柔軟な対応が重要です。たとえば、朝早くから活動する必要がある人には、事前に準備できる簡単なスムージーやオーバーナイトオーツが便利ですし、落ち着いて朝食を楽しむ時間が確保できる場合は、温かいスープや雑炊など、消化に優しい食事が適しているでしょう。

健康管理や疾病予防も可能に

個々の栄養ニーズに応じた朝食は、単に「朝食を摂る」という行為を超えて、全体的な健康管理や疾病予防において大きな役割を果たすものです。医療的視点からは、朝ごはんを習慣化することが体内のエネルギーバランスやホルモン調整、さらには免疫力の向上に直結することが認識されており、個別の栄養指導を通じて、より効果的な健康管理が可能になるとされています。

健康に良い影響も

朝ごはんを抜くことは、一見すると時間の節約やダイエットに役立つように思えますが、実際には胃や腸に大きなダメージを与える原因となります。胃酸の分泌異常による胃炎や胃潰瘍、腸内環境の悪化による便秘、さらには血糖値の乱れによるメンタルの不調など、朝食を抜くことのデメリットは数多く存在します。特に若い世代は、朝の忙しさや食欲のなさを理由に朝ごはんを抜きがちですが、長期的に見ると健康に悪影響を及ぼす可能性が高いため、今からでも朝食の習慣をつけることが重要です。

効果的な健康へ

朝食はただ食べればいいというわけではなく、食べる内容も重要です。胃腸に負担をかけない消化の良い食品を選び、バランスの取れた食事を心がけることで、より効果的に健康を維持することができます。少しずつでも朝食を取る習慣をつけることで、胃腸の健康を守り、一日を元気に過ごせるようになるでしょう。これを機に、朝ごはんの重要性を再認識し、少しずつでも取り入れてみてはいかがでしょうか?


ご予約はこちらから

当院では、腸の調子でお悩みの方に丁寧に診察と検査を行います。場合によっては、内視鏡検査のご提案もいたします。まずは、外来のご予約のうえご来院ください。24時間web予約が可能です。

クリニック紹介

住所 〒170-0013
東京都豊島区東池袋1-21-1
ラグーン池袋ビル6F
TEL 03-5992-5577
アクセス 「池袋駅」35番出口より徒歩3分
「東池袋駅」2番出口より徒歩5分
国際興業バス バス停
「サンシャインシティ」下車 徒歩2分
診療科目 消化器内科、内視鏡内科、内科