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大腸に関するお悩み

女性に急増中の大腸がん、そのリスクとなる原因を解明

大腸に関するお悩み
女性に急増中の大腸がん、そのリスクとなる原因を解明
院長 柏木 宏幸院長 柏木 宏幸

院長 柏木 宏幸所属学会・資格

  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 日本内科学会 内科認定医
  • 日本消化器病学会 消化器病専門医
  • 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
  • 一般社団法人日本病院総合診療医学会
    認定病院総合診療医
  • 難病指定医
  • がん診療に関わる医師に対する緩和ケア 研修会 修了
  • PEG・在宅医療研究会 修了証

日本では近年、女性の大腸がん罹患率が増加傾向にあります。特に40代以降の女性に多く見られ、食生活やライフスタイルの変化が大きく関与していると考えられます。国立がん研究センターの統計でも、大腸がんは女性のがん罹患数の上位に位置しており、注意が必要です。

本記事では、女性における大腸がんの増加原因、リスクを低減するための方法を詳しく解説します。

大腸がんとは?基本的な知識をおさらい

大腸がんは、大腸(結腸や直腸)にできる悪性腫瘍の一種で、進行すると他の臓器へ転移する可能性があります。早期発見が難しいため、定期的な検診が重要です。

大腸がんの主な種類

①結腸がん:大腸の中でも結腸に発生するがん
②直腸がん:大腸の終わりにある直腸に発生するがん

大腸がんの原因は、食生活や生活習慣の乱れ、遺伝、ホルモンバランスの変化などが関与しています。


女性の大腸がんが増加している理由とは?

女性に大腸がんが増えている要因として、以下のポイントが挙げられます

  • 食生活の欧米化(高脂肪・低食物繊維の食事):高脂肪・低食物繊維の食事は、大腸がんのリスクを高めるとされています。

  • 運動不足と肥満の増加:運動不足や肥満は、大腸がんのリスク要因として知られています。

  • ストレスの増大と腸内環境の悪化:ストレスは腸内環境に影響を及ぼし、腸内フローラのバランスを崩すことで、大腸がんのリスクを高める可能性があります。

  • ホルモンバランスの変化:女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下が大腸がんのリスクに影響を与える可能性がありますが、明確な関連性は確立されていません。

  • 便秘習慣の増加:便秘により腸内に有害物質が滞留し、腸内環境が悪化することで、大腸がんのリスクが高まると考えられています。

  • 飲酒・喫煙習慣の拡大:喫煙や飲酒は、大腸がんのリスクを増加させる要因とされています。

これらの要因が相互に関係しながら、大腸がんの発症リスクを高めています。これらの内容についてさらに詳しく見ていきましょう。


ホルモンバランスの変化が影響する可能性

女性の体は年齢とともにホルモンバランスが変化します。特に閉経を迎える40代後半から50代以降は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が大きく減少します。一部の研究では、エストロゲンには大腸がんのリスクを抑える効果があると考えられていますが、明確な関連性は確立されていません。 さらに、ホルモン補充療法(HRT)を受けている女性とそうでない女性では、大腸がんの発症率に差があるという研究もあります。ただし、HRTには乳がんや心血管疾患のリスクもあるため、一概に推奨されるわけではありません。

ホルモンバランスを整えるための対策

・大豆製品の摂取:イソフラボンがエストロゲンの働きを補う可能性があります。
・適度な運動:血流を促進しホルモン分泌を整える効果があります。
・十分な睡眠:ホルモン調整に重要です。
・ストレス管理:ストレスホルモンの増加はホルモンバランスを崩すため、適切なストレス管理が必要です。

ホルモンバランスの変化を理解し、それに対応する生活習慣を取り入れることで、大腸がんのリスクを軽減できる可能性があります。


妊娠・出産と大腸がんの関係性

女性の生涯における妊娠・出産経験が大腸がんのリスクにどのように影響するかは、研究によって異なる結果が報告されています。一部の研究では、初産年齢が高い女性(30歳以上)で結腸がんのリスクが低下する傾向が見られましたが、全体的には生殖・女性ホルモン関連要因と大腸がんとの明確な関連性は確認されていません。このように、妊娠・出産と大腸がんのリスクとの関係は未だ明確ではなく、今後の研究が待たれます。したがって、妊娠・出産歴に関わらず、定期的な検診と健康的な生活習慣の維持が重要です。


女性特有の疾患と大腸がんの関連性

女性特有の疾患、例えば子宮内膜症や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などが、大腸がんのリスクに影響を及ぼす可能性があります。一部の研究では、これらの疾患を持つ女性は、ホルモンバランスの乱れや慢性的な炎症状態が続くため、大腸がんのリスクが増加する可能性が示唆されています。しかし、現時点でのデータは限定的であり、さらなる研究が必要です。これらの疾患を持つ女性は、定期的な婦人科検診とともに、大腸がん検診も積極的に受けることをお勧め致します。


女性における大腸がんの初期症状と注意すべきサイン

大腸がんの初期症状は男女共通ですが、特に女性が注意すべきサインがあります。例えば、貧血や体重減少、腹部の不快感などが挙げられます。しかし、初期段階では自覚症状が乏しいため、これらの症状が現れた時には病状が進行している可能性があります。そのため、40歳以上の女性は定期的な大腸がん検診を受けることが推奨されています。便潜血検査や大腸内視鏡検査などを活用し、早期発見・早期治療を目指すことが重要です。


遺伝的要因と家族歴の影響

大腸がんは遺伝的要因も大きく関与すると考えられています。特に、直系の家族(親・兄弟姉妹)に大腸がんの罹患者がいる場合、発症リスクが高まることが報告されています。 遺伝性の大腸がんには、以下のような疾患があります。

①リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん)

ミスマッチ修復遺伝子(MLH1、MSH2、MSH6、PMS2)の生まれつきの変異が原因で、大腸がんや子宮体がん、胃がんなどのリスクが高まります。

②家族性大腸腺腫症(FAP)

APC遺伝子の変異により、大腸に多数のポリープが形成され、放置すると高確率で大腸がんに進行します。

これらの遺伝性疾患を持つ方は、通常よりも若い年齢から大腸がんのスクリーニング(検診)を受けることをおすすめいたします。
大腸がんを早期発見するために

・40歳未満でも家族歴がある場合は早めに検診を受ける
・遺伝要因をおさえる
・生活習慣を整え、リスクを軽減する

遺伝的な要因は避けられませんが、早期発見と予防的な生活習慣で発症リスクを可能な限り低減できます。


喫煙・飲酒と大腸がんのリスク

喫煙と飲酒は、大腸がんのリスクを増加させる要因として広く知られています。特に、喫煙歴が長い人や大量のアルコールを摂取する人は、大腸がんのリスクが高まるという研究結果があります。

①喫煙と大腸がん

タバコに含まれる発がん性物質(ベンゾピレン、ニトロソアミンなど)は、消化器系の粘膜にダメージを与え、がん細胞の発生を促進します。また、喫煙は腸の血流を悪化させ、炎症を引き起こしやすくするため、大腸の健康に悪影響を及ぼします。

②飲酒と大腸がん

アルコールは、体内でアセトアルデヒドという発がん性物質に変化します。特に日本人はアルコールを分解する酵素の活性が低い人が多く、アセトアルデヒドの影響を受けやすいため、大腸がんのリスクがより高くなります。

大腸がんを抑えるために

・禁煙や減酒を心がける
・週に2〜3日は休肝日を設ける
・適量のアルコール摂取(女性は1日1杯程度のワインが目安)

喫煙・飲酒を見直すことで、大腸がんだけでなく他の生活習慣病のリスクも軽減できます。


女性に多い便秘と大腸がんリスクの関連性

大腸がんの検査にはいくつかの方法があり、特に定期的な検診が早期発見の鍵となります。便秘は、多くの女性が抱える健康問題のひとつです。しかし、慢性的な便秘は大腸がんの発症リスクを高める可能性があります。

①有害物質の滞留

便が長時間腸内に留まることで、発がん性物質が大腸粘膜に長く接触し、細胞の変異を引き起こす可能性があります。

②腸内フローラの悪化

便秘によって悪玉菌が増殖し、腸内環境が乱れると、炎症や発がんのリスクが高まります。

③腸の蠕動運動の低下

腸の動きが鈍ることで、血流が悪化し、がん細胞の発生を促進する可能性があります。

便秘の改善策

・水分をしっかり摂取(1日1.5~2L)
・食物繊維を多く含む食品(野菜・果物・海藻・豆類)を意識
・適度な運動で腸を活性化
・ヨーグルトや発酵食品で腸内環境を整える

便秘の解消は大腸がん予防だけでなく、全身の健康にも良い影響を与えます。


女性と大腸がんの関係についてのよくある質問

女性特有のホルモンバランスの変化は大腸がんのリスクに影響しますか?

女性は閉経前後でエストロゲンの分泌量が変化しますが、これが大腸がんのリスクにどのように影響するかについては、明確な結論は出ていません。一部の研究では、エストロゲンが大腸がんのリスクを抑える可能性が示唆されていますが、確固たる証拠はまだありません。

乳がんと大腸がんの間に関連性はありますか?

はい。研究によれば、乳がんと大腸がんの間には関連性があるとされています。スウェーデンの研究では、乳がんと診断された女性が大腸がんを発症するリスクが増加することが報告されています。

女性における大腸がんの初期症状にはどのようなものがありますか?

大腸がんの初期症状は男女共通ですが、特に女性の場合、貧血や体重減少、腹部の不快感などが現れることがあります。しかし、初期段階では自覚症状が乏しいため、定期的な検診が重要です。

妊娠中に大腸がんを発症するリスクはありますか?

妊娠中に大腸がんを発症することは稀ですが、可能性はゼロではありません。妊娠中のホルモン変化や免疫機能の変動が影響を及ぼす可能性がありますが、具体的な関連性は明確ではありません。妊娠中に異常を感じた場合は、医療機関に相談することが重要です。妊娠中の内視鏡検査は控えた方が良いため、妊活中の方や今後妊娠の可能性がある方で内視鏡検査を今後受けたいと考えている場合には、妊娠前に内視鏡検査などのご相談をすることをお勧め致します。

女性の大腸がんリスクを低減するための効果的な予防策は何ですか?

女性の大腸がんリスクを低減するためには、バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、節酒、そして定期的な検診が推奨されます。特に食生活の改善や運動習慣の確立は、リスク低減に効果的とされています。

女性における大腸がんの生存率はどのくらいですか?

大腸がんの生存率は、がんの進行度や発見のタイミングによって異なります。一般的に、早期に発見された場合の5年生存率は高いとされていますが、進行した状態で発見された場合は生存率が低下します。定期的な検診と早期発見が生存率向上の鍵となります。


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当院では、大腸がんの家族歴がある方、大腸がんかもしれないとお困りの方にもしっかりと診察と検査を行います。場合によっては、内視鏡検査のご提案もいたします。まずは、外来のご予約のうえご来院ください。大腸カメラを希望の場合には事前診察外来(大腸カメラの事前の相談・説明外来)、当日大腸カメラ(1日で診察から検査まで対応)でのWeb予約も可能です。24時間web予約が可能です。

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診療科目 消化器内科、内視鏡内科、内科