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大腸に関するお悩み

「テレワークで運動不足…」その結果、腸が動かなくなる!?

大腸に関するお悩み
「テレワークで運動不足…」その結果、腸が動かなくなる!?
院長 柏木 宏幸院長 柏木 宏幸

院長 柏木 宏幸所属学会・資格

  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 日本内科学会 内科認定医
  • 日本消化器病学会 消化器病専門医
  • 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
  • 一般社団法人日本病院総合診療医学会
    認定病院総合診療医
  • 難病指定医
  • がん診療に関わる医師に対する緩和ケア 研修会 修了
  • PEG・在宅医療研究会 修了証

近年、テレワークが一般的になり、多くの人が自宅で仕事をするようになりました。通勤時間がなくなり、自由な時間が増えた一方で、「運動不足」に悩む人が急増しています。これまでのように駅まで歩くこともなくなり、オフィス内での移動も激減。気がつけば、1日の歩数が数百歩程度しかないという人も珍しくありません。しかし、この運動不足が「腸の動き」に悪影響を及ぼすことをご存じでしょうか? 運動不足が続くと、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が低下し、便秘や消化不良、腸内環境の悪化につながることがあります。特に、テレワークのように座りっぱなしの時間が長いと、腸の動きが鈍くなり、ガスが溜まりやすくなるなどの問題も発生しやすくなります。

本記事では、「テレワークによる運動不足がどのように腸の動きを悪くするのか?」について解説し、腸の健康を守るための具体的な対策を紹介していきます。

腸の動きとは?「蠕動運動」が消化に与える影響

私たちの腸は、食べ物を消化し、不要なものを排出するために「蠕動運動(ぜんどううんどう)」を行っています。これは、腸の筋肉がリズミカルに収縮し、消化物を次の器官へと送り出す働きを指します。蠕動運動が正常に行われることで、食べ物の消化や栄養の吸収、老廃物の排出がスムーズに進みます。

運動不足による腸への影響

・便秘の悪化:腸の動きが弱まることで、便が長時間大腸内に留まり、水分が過剰に吸収され、硬くなる。
・ガスが溜まりやすくなる:腸内での発酵が進み、膨満感や腹痛の原因になる。
・腸内フローラの乱れ:善玉菌が減少し、悪玉菌が増加することで腸内環境が悪化する。
・消化不良:食べ物の移動が遅くなり、胃もたれや胃痛を引き起こす。

テレワークによる座りっぱなしの生活が腸の動きに悪影響を及ぼしやすいことが分かります。次の章では、実際に運動不足が腸の健康にどのような影響を与えるのかを詳しく解説します。


テレワークで運動不足になると、腸はどうなる?

テレワークでは、オフィス勤務時と比べて圧倒的に身体を動かす機会が減ることが特徴です。これが腸の機能にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

①座りっぱなしが腸の動きを低下させる

長時間座っていると、腸の周りの筋肉が硬直し、蠕動運動が鈍くなります。通常、立ったり歩いたりすることで腸が適度に刺激され、消化活動が促進されるのですが、動かない時間が長くなると、腸の動きも鈍くなるのです。

②腹圧の低下で便秘になりやすくなる

運動をすると、お腹の筋肉(腹直筋や腹斜筋)が適度に刺激され、腸を動かす力が強まります。しかし、運動不足が続くと腹圧が低下し、腸の収縮力が弱まり、便を押し出す力が不足するため、便秘の原因になります。

③ストレスが腸内環境を悪化させる

テレワーク環境では、仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすく、ストレスが溜まりやすくなります。このストレスが腸の自律神経を乱し、腸の動きをさらに低下させることが分かっています。特に、「ストレス性の便秘」や「過敏性腸症候群(IBS)」を引き起こすリスクが高くなります。

このように、運動不足が腸に及ぼす影響は想像以上に大きいのです。次の章では、実際に腸の不調がどのような症状として現れるのかを詳しく解説します。


腸の不調が引き起こす症状とは?

運動不足による腸の機能低下は、単なる便秘にとどまらず、さまざまな健康トラブルを引き起こします。代表的な症状として、以下のようなものが挙げられます。

①慢性的な便秘

腸の動きが鈍くなることで、便秘が慢性化します。これにより、腸内の悪玉菌が増え、さらに腸の調子が悪くなるという悪循環に陥ります。

②ガスが溜まりやすくなる(腹部膨満感)

腸の動きが低下すると、腸内でガスが発生しやすくなり、お腹が張る原因になります。特に、デスクワーク中にガスが溜まると、不快感を感じることが増えます。

③おならが臭くなる

腸内環境が悪化すると、発酵や腐敗が進み、おならの臭いが強くなることがあります。これは、悪玉菌が増え、腸内で有害物質が発生しているサインです。

④肌荒れや体調不良

腸の健康は、肌や免疫力とも密接に関係しています。腸の働きが低下すると、栄養の吸収が悪くなり、肌荒れや免疫低下の原因となることがあります。

これらの症状が続く場合、腸の健康を見直すことが必要です。次の章では、運動不足による腸の不調を改善するために、日常的に取り入れられる運動習慣を紹介します。


テレワーク中に取り入れるべき腸活エクササイズ

運動不足によって腸の働きが低下している場合、意識的に体を動かすことが重要です。特に、腸の蠕動運動を促進するためには、適度な運動が欠かせません。テレワーク中に取り入れやすい腸活エクササイズとしては、簡単なストレッチや軽い運動が効果的です。

腹部のマッサージ

デスクワークの合間にできる腹部のマッサージを行うとよいでしょう。おへそを中心に時計回りに手のひらでゆっくりと圧をかけながらマッサージすることで、腸の動きを刺激できます。この方法は、特に腸が滞っていると感じるときに有効であり、食後のリラックスタイムに取り入れるとより効果が高まります。

軽いウォーキング

座りっぱなしの時間が長くなると腸の動きが鈍るため、1時間に1回は立ち上がり、軽いウォーキングをすることが大切です。室内でも足踏みをしたり、スクワットを行うことで、腹圧が上がり腸が刺激されます。特に、スクワットは腹筋にも負荷がかかるため、腸の収縮を促し、排便をスムーズにする助けとなります。

ヨガ

ヨガのポーズの中には腸の動きを活性化させるものも多いです。例えば、ひざを抱えて左右にゆらすポーズや、ねじりのポーズは腸を刺激し、便秘の解消につながります。テレワークの合間や、仕事終わりのリラックスタイムに取り入れることで、腸の健康を維持しやすくなります。

このように、テレワーク中でも無理なく取り入れられる運動を継続することで、腸の働きを改善し、便秘や腸内環境の悪化を防ぐことができます。


腸の動きを改善する食事法

運動だけでなく、食事も腸の健康を左右する重要な要素です。腸の蠕動運動を促進し、腸内環境を整えるためには、適切な栄養を摂取することが不可欠となります。

食物繊維

まず、食物繊維を意識的に摂ることが大切です。食物繊維には水溶性と不溶性の二種類があり、両方をバランスよく摂取することで腸の調子が整いやすくなります。水溶性食物繊維は、便を柔らかくし腸内の善玉菌を増やす働きがあるため、海藻類や納豆、オートミールなどの食品を積極的に取り入れるとよいでしょう。不溶性食物繊維は、腸の中で膨らみ便の量を増やす作用があるため、ごぼうや大豆、玄米などを食事に加えることで、スムーズな排便につながります。

発酵食品

発酵食品も腸の動きを助ける食品の一つです。ヨーグルトやキムチ、ぬか漬けなどには乳酸菌が豊富に含まれており、腸内の善玉菌を増やす効果が期待できます。特に、テレワークでは食事のリズムが乱れやすいため、毎朝ヨーグルトを食べるなど、一定の習慣として取り入れると腸の働きを安定させやすくなります。

水分補給

水分補給も腸の健康には欠かせません。水分が不足すると便が硬くなり、腸内での移動がスムーズに進まなくなるため、こまめに水を飲むことを意識する必要があります。特に、朝起きた直後にコップ一杯の水を飲むことで、腸の動きを活発にすることができます。

過剰な脂質や糖質の摂取を控える

過剰な脂質や糖質の摂取を控えることも大切です。テレワーク中は間食の機会が増えがちですが、スナック菓子や揚げ物などの高脂肪食は腸の動きを鈍らせ、便秘を引き起こす原因となります。おやつを食べるなら、ナッツや果物など、腸に優しい食品を選ぶことで、健康的な腸の状態を維持しやすくなります。

このように、腸に良い食材をバランスよく取り入れることで、運動不足による腸の不調を予防し、スムーズな消化と排便を促すことができます。


テレワーク環境が腸に与える影響

テレワークの環境自体も腸の健康に影響を与えることがあります。オフィス勤務と比べて動く機会が減るだけでなく、仕事をする姿勢やデスク周りの環境も腸の働きに関係してくるためです。

腸の血流の悪化

まず、長時間座り続けることは腸の血流を悪化させ、蠕動運動を鈍らせる原因となります。特に、猫背のような悪い姿勢でデスクワークを続けると、お腹周りの筋肉が圧迫され、腸の働きが低下する可能性があります。正しい姿勢を意識し、腰をしっかり立てて座ることで、腸への負担を減らすことができます。

ダラダラとした食事習慣

テレワークではリラックスしすぎる環境が逆に腸の働きを悪化させることもあります。オフィスでは適度な緊張感があり、食事の時間も一定のリズムを保ちやすいですが、自宅ではダラダラと食事をとる習慣がつきやすく、結果として腸のリズムが乱れることがあります。規則正しい食事時間を守ることが、腸の正常な働きを維持する上で重要です。

長時間のデスクワーク

デスクワークの合間に立ち上がって動く習慣をつけることも腸の健康を守るために効果的です。仕事の合間にストレッチをしたり、飲み物を取りに行ったりするだけでも、腸の動きを促進することにつながります。

このように、テレワーク環境そのものが腸に影響を与えることを意識し、適切な姿勢や習慣を取り入れることで、腸の健康を守ることができます。


テレワークによるストレスが腸に及ぼす影響

テレワークでは仕事とプライベートの境界が曖昧になり、ストレスを感じやすくなります。オフィス勤務では同僚と雑談を交えながら仕事ができるため、気分転換の機会が自然と生まれます。しかし、自宅での仕事ではコミュニケーションが減り、孤独感を抱えることも少なくありません。また、業務量の管理が難しくなり、終業後も仕事のことが気になってしまうケースもあります。

ストレスと便秘

こうしたストレスは、腸の働きに悪影響を及ぼします。腸は「第二の脳」とも呼ばれ、自律神経と深く関わっています。特に、ストレスがかかると交感神経が過剰に働き、腸の血流が低下してしまいます。その結果、腸の蠕動運動が鈍り、便秘や消化不良を引き起こすことがあります。さらに、ストレスが続くことで腸内フローラのバランスが崩れ、悪玉菌が増えやすくなります。

ストレスと過敏性腸症候群

また、ストレスが腸に及ぼす影響は、便秘だけにとどまりません。過敏性腸症候群(IBS)と呼ばれる疾患は、ストレスによって腸の動きが異常になり、便秘と下痢を繰り返すことが特徴です。テレワークによるストレスが続くことで、このような腸のトラブルが発生する可能性もあるのです。

ストレスによる腸の不調を防ぐためには、意識的にリラックスする時間を確保することが重要です。例えば、仕事の合間に深呼吸をすることで副交感神経を活性化させ、腸の働きを整えることができます。また、アロマを活用したり、好きな音楽を聴いたりすることもストレス軽減に効果的です。ストレス管理を意識することで、腸の健康を守ることができます。


テレワーク中に腸の健康を維持するための具体的な習慣

テレワークでの運動不足やストレスが腸に及ぼす影響を防ぐためには、日常生活の中で腸の健康を意識した習慣を取り入れることが大切です。まず、生活リズムを整えることが重要です。特に、朝食をしっかりとることで腸の活動を活発にし、便通を促すことができます。朝食を抜くと、腸のリズムが乱れやすくなるため、たとえ軽いものでも食べる習慣をつけることが望ましいです。

軽いストレッチ

また、長時間のデスクワークを避けるために、定期的に体を動かすことも効果的です。1時間に1回は立ち上がり、軽くストレッチを行うことで、腸の血流が改善され、蠕動運動を促すことができます。特に、デスクワーク中にお腹を意識的に引き締めることで、腸に適度な刺激を与えることができます。

水分補給

水分補給も腸の健康を維持するために欠かせません。テレワークでは仕事に集中するあまり、水を飲むのを忘れてしまうことがよくあります。しかし、水分が不足すると便が硬くなり、腸の動きが鈍くなってしまいます。常にデスクの上に水を用意し、こまめに飲むことを心がけましょう。特に、朝起きてすぐにコップ一杯の水を飲むと、腸が刺激されてスムーズな排便につながります。

食事

さらに、食事の内容にも気を配ることが大切です。腸の働きを助ける食物繊維や発酵食品を積極的に摂取し、腸内環境を整えるようにしましょう。また、間食としてスナック菓子や甘いものを食べるのではなく、ナッツやヨーグルトなど腸に優しい食品を選ぶことで、腸の健康を維持しやすくなります。

このように、日常のちょっとした工夫を取り入れることで、テレワークによる腸の不調を予防し、快適な生活を送ることができます。

運動

テレワークが普及したことで、多くの人が運動不足になり、腸の動きが鈍くなるという問題が生じています。座りっぱなしの生活が続くと、腸の血流が悪くなり、便秘や消化不良の原因となります。さらに、仕事のストレスが腸の自律神経を乱し、腸内フローラのバランスを崩すこともあります。こうした問題を防ぐためには、腸の健康を意識した生活習慣を取り入れることが大切です。
腸の動きを活発にするためには、こまめに体を動かすことが重要です。デスクワークの合間にストレッチやウォーキングを取り入れることで、腸の蠕動運動を促すことができます。また、食物繊維や発酵食品を意識的に摂ることで、腸内環境を整えることができます。水分補給を忘れずに行い、便を柔らかくすることで腸の働きをサポートすることも効果的です。

ストレス緩和

さらに、ストレス管理も腸の健康には欠かせません。仕事とプライベートの切り替えを意識し、適度にリラックスする時間を確保することで、自律神経のバランスを整えることができます。深呼吸や軽い運動を取り入れることで、腸の働きを正常に保つことができます。

このように、テレワーク中の運動不足やストレスが腸に与える影響を理解し、日常生活の中で腸を意識した習慣を身につけることが大切です。日々の小さな工夫が、腸の健康を守り、快適な生活につながります。テレワークだからこそ、自分のペースで健康管理を意識し、腸の働きを活発にする習慣を取り入れていきましょう。


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当院では、腸の不調でお悩みの方に丁寧に診察と検査を行います。場合によっては、内視鏡検査のご提案もいたします。まずは、外来のご予約のうえご来院ください。胃カメラや大腸カメラを希望される場合にはWebにて胃・大腸カメラを直接ご予約頂くことも可能となっております。いずれも24時間web予約が可能です。

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診療科目 消化器内科、内視鏡内科、内科